2026.10.20
経審とは?電気工事会社向けに仕組み・点数・受け方を徹底解説
「公共工事の入札に参加するために経審が必要だと聞いた」
「点数が大事らしいけど、どうやって決まる?」
公共入札に向け、このような悩みを持つ電気工事会社の経営者も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、電気工事会社向けに経審(経営事項審査)の基本を解説します。評点の仕組みや点数の決まり方、申請の具体的な受け方まで、一つひとつ分かりやすく説明していきます。
公共工事受注の全体像については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
CONTENTS
経審(経営事項審査)とは?電気工事会社が知るべき基本
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経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に参加するために必要な、会社の経営状態や技術力を評価する審査です。
これは国や自治体が発注者として、工事を任せるに足る会社かを見極めるための「会社の成績表」のようなものです。
公共工事の入札参加に不可欠な「会社の成績表」
経営事項審査(経審)とは、公共工事を直接請け負いたい建設業者が必ず受けなければならない審査制度のことです。
会社の経営状況や技術者の数などを客観的な点数(総合評定値P点)で評価します。この点数が、いわば会社の「成績表」の役割を果たします。発注者はこの成績表を見て、安心して工事を任せられる会社を選びます。公共工事の受注を目指すなら、経審は避けて通れない道です。
経審を受けるメリットと受けない場合の影響
経審を受ける最大のメリットは、国や自治体が発注する公共工事の入札に参加できる(※)ことです。安定した受注が見込める公共工事は、会社の経営にとって大きな柱になります。
一方、経審を受けないと、公共工事の元請けとして入札に参加することはできません。また、下請けの場合でも、元請け会社から経審の結果提出を求められるケースが増えています。公共工事と民間工事のどちらを主軸にするか、会社の将来を考える上での大きなポイントです。
(※)経審を受けただけで自動的に入札へ参加できるわけではありません。実際に入札へ参加するには、各自治体や官公庁ごとの入札参加資格申請も必要です。
審査基準日と有効期間のルール
経審には大事な日付のルールがあります。
まず「審査基準日」は、会社の決算日です。そして経審の結果が有効な期間は、その審査基準日から「1年7ヶ月」と決められています。
この有効期間を過ぎると、公共工事の入札には参加できなくなります。毎年切れ目なく入札に参加するためには、決算が終わったらすぐに経審の準備を始めることがカギです。このサイクルをしっかり会社の仕組みとして作っておく必要があります。
経審の評点(P点)の仕組み【点数を構成する4つの評価項目】
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経審の点数は「総合評定値(P点)」と呼ばれ、会社の総合力を示すものです。これは主に「工事実績」「経営状況」「技術力」「社会性」という4つの項目を点数化して算出されます。このP点が高いほど、会社の客観的な評価も高くなります。
総合評定値(P点)の計算式と重要性
総合評定値(P点)は、公共工事の入札に参加できる工事の規模を決める、とても大事な点数です。会社の総合力は、以下の計算式で評価されます。
P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W
この式は、X1(完成工事高)やZ(技術力)など、各項目に重み付けをして合計する仕組みです。点数が高ければ、それだけ大きな規模の公共工事を受注できるチャンスが広がるわけです。
完成工事高(X1)と経営状況(X2, Y)
X1は「完成工事高」のことで、会社の工事実績、つまり売上の規模を示します。直近2年または3年の平均値が使われ、会社の事業規模を評価するカギです。
一方、X2は自己資本額や利益額、Yは経営状況分析を指します。これらは会社の財務の健全性や儲ける力を評価する項目です。つまり、X1は「どれだけ仕事をしたか」、X2とYは「会社の経営は安定しているか」を見るための数字と言えます。
技術力(Z)とその他の審査項目(社会性等)(W)
Zは「技術力」を評価する項目です。会社に所属する技術職員の資格と人数によって点数が決まります。第一種電気工事士といった国家資格を持つ社員が多いほど、会社の技術力は高く評価されます。
Wは「その他の審査項目」で、会社の社会性などが評価の対象です。労働福祉の状況(社会保険加入など)や若手技術者の育成状況などが点数として評価されます。
電気工事会社が経審を受けるための流れと必要書類

経審を受けるには、大きく分けて3つのステップがあります。まず決算変更届を出し、次に経営状況分析、最後に経営規模等評価を申請します。この流れをしっかり押さえることが、スムーズな手続きのカギです。
ステップ1:決算変更届の提出
経審を受ける最初のステップは、決算変更届の提出です。
建設業許可を持つ会社は、事業年度が終わるごとに必ず提出しなければなりません。提出先は、許可を受けた都道府県や地方整備局です。期限は事業年度終了後4ヶ月以内なので、忘れないようにしましょう。工事経歴書や財務諸表といった書類が、この後の経審の基礎データになります。許可の維持にも欠かせない大事な手続きです。
ステップ2:経営状況分析申請(Y)
決算変更届を出したら、次は経営状況分析(Y)の申請です。これは国土交通大臣の登録を受けた民間の「登録経営状況分析機関」に依頼します。
申請すると、会社の財務状況を分析した「経営状況分析結果通知書」が届きます。この通知書が、次のステップで大事になります。申請には財務諸表のほか、工事経歴書や建設業許可通知書の写しなどが必要です。分析機関によって手数料や日数が違うので、いくつか比較して選ぶのがおすすめです。
ステップ3:経営規模等評価申請(X, Z, W)と総合評定値通知請求
最後に、許可を受けた行政庁へ経営規模等評価を申請します。ステップ2の「経営状況分析結果通知書」の原本がここで必要です。あわせて技術職員名簿や社会保険の加入状況がわかる資料なども提出します。
この申請で、完成工事高(X点)や技術力(Z点)などが評価されます。同時に総合評定値(P点)の通知を請求しないと最終的な点数が出ないので注意しましょう。審査後に届く「総合評定値通知書」は、電子入札の参加資格申請に欠かせません。
経審の点数を上げるには?電気工事会社ができる評点アップのポイント

経審の点数を上げるポイントは、技術職員の育成、安定した工事受注、そして社内制度の整備です。特に技術力(Z点)と社会性(W点)は、会社の努力が直接点数に反映されやすい項目と言えるでしょう。
技術職員(Z点)の増員と資格取得支援
技術職員評点(Z点)は、会社の技術力を示す大事な評価項目です。第一種電気工事士や1級電気工事施工管理技士など、上位資格を持つ社員が多いほど点数は高くなります。そのため、若手社員に資格を取ってもらうことが、会社の将来への投資にもつながります。
資格取得にかかる費用を会社が補助する制度を作ると、社員のやる気も上がりますよね。こうした資格取得に使える助成金や補助制度もあるので、積極的に活用するのがおすすめです。
助成金・補助金については下記のコラムもご一読ください。
完成工事高(X1点)を安定させる経営戦略
完成工事高(X1点)は、過去2年または3年の平均売上で評価されます。そのため、単発で大きな工事を受注するより、毎年安定して売上を上げることが重要です。公共工事だけでなく、民間工事とのバランスを取りながら、継続的に受注を積み上げることが、安定した評価につながります。
労働福祉や法令遵守(W点)の徹底
社会性等(W点)は、会社の信頼性を見るための項目です。社員の社会保険や雇用保険への加入、建退共(建設業退職金共済制度)への加入は基本中の基本です。
また、労働安全衛生法などの法令を守ることはもちろん、会計処理をきちんとすることも評価されます。
経審対策とあわせて、公共工事に対応できる人材体制を整えよう

ここまで解説した通り、経審は公共工事の入札に参加するために欠かせない審査です。そして経審の点数を安定して高めていくには、売上を伸ばすだけでなく、資格保有者を確保し、社内の施工体制を整えることも重要です。
特に電気工事会社では、第一種電気工事士や1級電気工事施工管理技士などの資格保有者、公共工事の書類対応や現場管理に慣れた人材の有無が、今後の受注力に大きく関わります。
「経審の点数を上げたい」
「公共工事に対応できる技術者を採用したい」
「資格保有者を増やして、より大きな工事を受注したい」
といった課題がある場合は、電気業界専門の求人メディア「電工ナビ」の活用もおすすめです。
電工ナビでは、電気工事士・施工管理技士などの資格保有者に直接アプローチでき、公共工事経験者や即戦力人材の採用にも活用されています。
電気工事業界で採用をご検討中の方は、ぜひ下記よりサービス資料をご覧ください。


よくある質問

Q. 経審の費用はどれくらいかかりますか?
経審にかかる費用は、行政書士に支払う報酬と、審査機関に支払う法定手数料の2種類です。行政書士への報酬は10万円〜20万円が相場ですが、会社の規模や書類の準備状況で変わります。法定手数料は、経営状況分析と経営規模等評価を合わせて数万円程度です。自社で書類を全て準備すれば、行政書士の費用はかかりません。
Q. 赤字決算でも経審は受けられますか?
はい、赤字決算でも経審を受けること自体は可能です。ただし、赤字は経営状況評点(Y点)に響くため、総合評定値(P点)は低くなる傾向があります。すぐに黒字化が難しい場合でも、社会保険への加入を徹底したり、技術職員を増やしたりするなど、他の項目で点数を上げる工夫をすることが大事です。
Q. 審査は毎年受けなければいけませんか?
公共工事の入札に継続して参加したいなら、毎年受ける必要があります。経審の結果の有効期間は「審査基準日(決算日)から1年7ヶ月」と決まっています。この期間が切れると入札に参加できなくなるため、切れ目なく公共工事を受注するには、毎年決算が終わったら速やかに経審を受けるのが一般的です。
Q. 新設したばかりの電気工事会社でも経審は受けられますか?
はい、設立1年目の会社でも経審は受けられます。最初の事業年度の決算が確定すれば、その財務諸表をもとに申請ができます。もちろん、工事実績がないため完成工事高(X1点)の点数は低くなります。ですが、まずは経審を受けて入札参加資格を得ることが、公共工事を受注するための第一歩になります。
Q. 経審の点数が低いと公共工事は受注できませんか?
点数が低いと不利にはなりますが、全く受注できないわけではありません。多くの自治体では、経審の点数によって入札に参加できる工事の規模をランク分けしています。点数が低い場合は、まず小規模な工事から実績を積み、徐々に会社の評価を上げていくのが現実的なステップです。会社の規模に合った工事から狙っていきましょう。