2026.08.20
電気工事会社の経審点数を上げる方法【公共工事受注に向けた評点アップ術】
公共工事の受注を増やすには、経営事項審査(経審)の点数がカギになります。そのため、「どうすれば評点が上がるのか」と、具体的な方法に悩む経営者の方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、電気工事会社向けに経審の点数を上げる方法を解説します。総合評定値(P点)の仕組みから、完成工事高(X1)や技術力(Z)など項目別の評点アップ術まで、分かりやすくまとめました。
公共工事受注の全体像については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
CONTENTS
経営事項審査(経審)とは? 総合評定値(P点)の仕組みを理解する

経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に参加したい会社の経営状態を点数で評価する制度です。
この点数である総合評定値(P点)は、会社の工事実績や財務状況など、複数の項目を組み合わせて計算されます。
総合評定値(P点)を構成する5つの評価項目
総合評定値(P点)は、会社の力を様々な角度から見るための5つの評価項目で決まります。
X1(完成工事高):工事の実績
X2(自己資本額・利益額):会社の経営体力
Y(経営状況分析評点):財務の健全性
Z(技術職員数・元請完成工事高):技術力
W(その他社会性等):社会的な信頼性
これらの点数をどう上げていくかがカギになります。
電気工事会社が経審の点数を上げる重要性
経審の点数を上げることは、受注できる工事の規模を大きくするためにとても重要です。
官公庁はP点をもとに入札に参加できる会社をランク分け(格付け)しています。点数が高ければ高いランクとなり、大きな金額の公共工事にも挑戦できるようになります。そのため、公共工事の受注を目指すなら、まずこのP点を意識することが重要です。
【評点項目別】電気工事会社の経審点数を上げる具体的な方法

経審の点数を上げるには、各評点項目を理解し、それぞれに合った対策を取ることがカギです。特に影響の大きいX1(完成工事高)、X2(自己資本額・利益額)、Y(経営状況分析)の3つに絞って、点数を上げる具体的な方法を解説します。
完成工事高(X1)の点数を上げる:安定受注と案件選定
X1評点は、完成した工事の売上高で決まります。
安定して完成工事高を積み上げるには、継続的に受注できる元請け案件や公共工事の比率を高めることが重要です。闇雲に仕事を受けるのではなく、相見積もりなどを通じて、しっかり利益を確保できる案件を見極めるのが点数アップのポイントです。
自己資本額・利益額(X2)の点数を上げる:財務体質の強化
X2評点は、会社の「純資産」と「利益額」で評価されます。つまり、会社の財務的な体力が見られています。
点数を上げるには、まず黒字経営を続けるのが大前提です。その上で、増資をしたり、社長からの借入金を資本金に振り替えたりする方法があります。また、使っていない機械や土地などを売却して、会社の現金を増やすのも有効です。会社に筋肉をつけ、脂肪を減らすイメージで取り組むと良いでしょう。
経営状況分析(Y)の評点を上げる:8つの財務指標の改善策
Y評点は、専門の分析機関が8つの財務指標で会社の経営状態を評価するものです。会社の健康診断のようなものだと考えてください。例えば、支払能力や収益性、効率性などが細かく見られます。
点数を上げるには、借入金を減らす、売掛金を早く回収する、不要な在庫を持たないといった地道な改善が欠かせません。
技術力(Z)とその他の審査項目(W)で着実に加点する方法

技術力(Z点)と社会性等(W点)は、資格者の確保や労働環境の整備といった日々の会社運営の積み重ねで点数を上げられる項目です。一朝一夕には上がりませんが、計画的に取り組むことで着実な加点につながります。
技術職員(Z1)の評点を高める:有資格者の採用と育成計画
技術職員の評点(Z1)は、有資格者の人数と資格の種類で決まります。特に評価が高いのは、第一種電気工事士や1級電気工事施工管理技士といった国家資格です。新しい人を採用するだけでなく、今いる社員の資格取得を会社が後押しすることも大事でしょう。
例えば、受験費用を会社が負担したり、合格したら資格手当を出したりする仕組みです。こうした取り組みは、若手のモチベーションアップと定着にもつながります。
社会性等(W)で加点する:労働福祉・法令遵守・防災協定
社会性等(W)は、会社の信頼性を示す大事な評価項目です。従業員の働きやすさや地域貢献が点数に直結します。具体的には、以下のような取り組みが加点対象になります。
・雇用保険、健康保険、厚生年金保険への加入
・建設業退職金共済(建退共)制度への加入
・労働災害を防止するための活動
・営業停止処分や指示処分がないこと
・自治体との防災活動に関する協定の締結
当たり前のことをきちんと守り、地域に貢献する姿勢が評価されます。
若手技術者・技能者の育成と定着で加点を目指す
経審では、若手技術者や技能者を育てている会社が高く評価される傾向にあります。これは、業界全体の人手不足をなんとかしようという国の考えが反映されたものです。
若手技術者の育成や継続雇用といった取り組みは、社会性等(W点)の評価につながる場合があります。資格取得の支援だけでなく、働きやすい現場環境を整えることが若手の定着につながります。
経審の点数アップを計画的に進めるためのポイント

経審の点数アップは、行き当たりばったりではうまくいきません。決算前から計画的に対策を立て、シミュレーションで効果を確かめることが大事です。自社だけでは難しい場合、専門家の知恵を借りるのも点数アップへの近道になります。
決算前にできる対策とシミュレーションの活用
経審の評価は、決算日時点の財務状況がもとになります。つまり、決算が確定してからでは対策はできません。決算の数ヶ月前から、利益の確保や自己資本の増強などを計画的に進めるのがポイントです。
例えば、役員への短期貸付金を回収したり、仮払金を整理したりするだけでも評点は変わります。市販の経審シミュレーションソフトを使えば、こうした対策が点数にどう響くか事前に分かります。「あと少しでAランクだったのに」という悔しい思いをせずに済みます。
行政書士など専門家への相談も有効な選択肢
経審の仕組みは複雑で、自社だけで最適な対策を見つけるのは大変です。建設業に詳しい行政書士は、会社の状況を客観的に分析し、どの評点を狙うのが一番効率的か、具体的なアドバイスをくれます。
手数料はかかりますが、点数アップで受注できる工事のランクが上がれば、すぐに元が取れるケースも少なくありません。書類作成や申請も任せられるので、社長や現場の負担が軽くなるのも大きなメリットでしょう。
経審対策とあわせて、資格保有者の確保も重要

経審の点数を上げるには、完成工事高や財務状況だけでなく、技術職員数や資格保有者の確保も欠かせません。
特に電気工事会社では、第一種電気工事士や1級電気工事施工管理技士など、有資格者の人数が技術力(Z点)に大きく影響します。
しかし実際には、
・資格者が足りない
・若手が定着しない
・公共工事に対応できる施工管理がいない
といった課題を抱える会社も少なくありません。
公共工事の受注を増やすには、経審対策と並行して、人材採用や育成体制を整えることも重要です。
電気業界専門の求人メディア「電工ナビ」では、電気工事士・施工管理技士などの資格保有者に直接アプローチでき、公共工事経験者の採用にも活用されています。
「今後、より大きな公共工事を受注したい」
「経審の点数アップにつながる人材を確保したい」
と考えている場合は、ぜひ下記よりサービス資料をご覧ください。


よくある質問
Q. 決算後、いつまでに経審を受ければいいですか?
経審の有効期間は「審査基準日(決算日)から1年7ヶ月」です。公共工事の入札に参加し続けるには、この有効期間が切れる前に毎年継続して受審しなくてはいけません。決算後、すみやかに決算変更届を提出し、経審の申請準備に入るのが一般的です。手続きには時間がかかるため、決算が終わったら早めに動き出すのがカギです。
Q. 小さな電気工事会社でも経審の点数は上げられますか?
はい。会社の規模にかかわらず、点数を上げる方法はたくさんあります。例えば、若手技術者の採用や資格取得の支援は技術力評点(Z点)のアップにつながります。また、社会性等(W点)の項目である退職金制度や法定外労災保険への加入なども、会社の規模が小さくても取り組める大事なポイントです。計画的に対策をすれば、着実に評点を伸ばせます。
Q. 有資格者が退職した場合、点数にどう影響しますか?
有資格者の退職は、技術力評点(Z点)の低下に直接つながります。経審では、審査基準日時点で在籍している技術職員の数と保有資格が評価されるからです。特に1級電気工事施工管理技士のような点数の高い資格を持つ社員が辞めると、その影響は大きくなります。社員の定着を図る取り組みや、計画的な採用・育成が欠かせません。
Q. 経審のシミュレーションは自分でもできますか?
はい、自分で行うことも可能です。建設業情報管理センターのウェブサイトで評点計算式が公開されていますし、市販のシミュレーションソフトもあります。しかし、評価項目が複雑で専門知識も必要になるため、正確な数値を出すのは簡単ではありません。行政書士などの専門家に相談するのが確実で早いケースが多いでしょう。
Q. 評点が下がる主な原因は何ですか?
評点が下がる主な原因は、完成工事高の減少、赤字決算や自己資本額の減少、技術職員の退職の3つです。特に公共工事の受注が減って完成工事高(X1点)が下がると、総合評定値(P点)に大きく響きます。また、赤字決算や自己資本額の減少も財務状況(Y点)を悪化させます。日々の経営状態そのものが経審の点数に直結していると考えるのが大事です。