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2026.03.12

北海道の電気工事市場の現状と今後の動向【人口減少・建設投資・設備投資から読む将来性】

北海道の電気工事市場は、人口減少や建設投資の変化の影響を大きく受けています。

新築需要の推移、公共工事の比率、設備更新や再生可能エネルギー関連投資の広がりは、今後の受注環境を左右する要素です。

本記事では、北海道の人口動向、建設投資額、設備投資の統計データをもとに、市場規模の現状と変化の方向性を整理します。

北海道の電気工事業界の特性や季節変動の影響については、下記の記事で詳しく解説しています。

▶ 北海道の電気工事会社は冬に売上が落ちる?閑散期を乗り切る経営対策

 

北海道の人口動向と電気工事需要への影響

電気工事市場を考えるうえで、最も基礎となるのが人口動向です。

住宅着工、公共施設整備、設備更新の規模は、人口規模や世帯構成と密接に関係しています。

まずは、北海道の人口推移と世帯構造の変化を整理します。

 

北海道の総人口の推移

全国的な傾向と同様、北海道の総人口は、減少を続けています。

総務省統計局「人口推計」(※1)によると、2015年に約538万人だった北海道の総人口は、2024年には約504万人と、約34万人減少しています。

さらに、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口 令和5(2023年推計)」(※2)では、2045年に北海道の人口は400万人台前半まで減少する見込みとされています。

市町村別に見ると、札幌市は比較的減少幅が小さい一方、道東・道北エリアでは減少率が高い自治体も多く、地域間の人口差は拡大しています。

 

北海道の生産年齢人口の減少

総人口の減少以上に、電気工事市場へ影響が大きいのが生産年齢人口(15〜64歳)の減少です。

総務省統計局「人口推計」(※1)によると、北海道の生産年齢人口は2015年から2024年までに約29万人減少。働き手となる世代が確実に縮小していることがわかります。

生産年齢人口の減少は、次の二つの面で電気工事市場に影響します。

まず、労働力の縮小です。電気工事は資格職種であり、若年層の減少はそのまま人材確保の難易度上昇につながります。

もう一つは、住宅需要への影響です。新築住宅の取得層は主に30〜40代が中心です。生産年齢人口が減少すれば、将来的な住宅着工戸数にも影響が及びます。

実際に、北海道の新設住宅着工戸数は長期的に減少傾向にあります。

国土交通省の「建築着工統計調査」(※3)によると、2018年に約34,000戸だった新築住宅着工戸数は、2024年には約25,000戸と、約9,000戸減少しているのがわかります。

世帯数の変化と住宅需要

総人口、生産年齢人口が減少している一方で、世帯数の動きはやや異なります。

総務省統計局「国勢調査」(※4)によると、北海道の総世帯数は
・2010年:約242万世帯
・2015年:約244万世帯
・2020年:約246万世帯
と、人口減少が進む中でも増加しています。

これは、単身世帯の増加が背景にあります。2020年国勢調査では、北海道の一般世帯のうち単身世帯は約38%を占めています。

単身世帯の増加は、住宅需要の内容に変化を与える要因の一つです。

具体的には、単身世帯が増えると戸建てや新築よりも、集合住宅、小規模住宅、既存住宅のリフォームといった需要につながりやすい傾向があります。

これらを踏まえると、人口減少の中でも、住宅需要が完全に消失するわけではありません。新築中心の市場規模が縮小する一方で、更新・改修分野の比重が高まる可能性があります。

(※1)調査元:総務省統計局「人口推計
(※2)調査元:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口 令和5(2023年推計)
(※3)調査元:国土交通省「建築着工統計調査
(※4)総務省統計局「国勢調査

 

北海道の建設投資の現状

人口動向が住宅需要や労働力に影響する一方で、電気工事市場の規模を直接左右するのが建設投資額です。

建物やインフラが建設・更新される限り、そこには電気設備工事が発生します。そのため、建設投資の総額と内訳を把握することは、電気工事市場の土台を理解することに直結します。

ここでは、北海道における建設投資の推移と構成を整理します。

 

北海道の建設投資総額の推移

国土交通省の資料(※5)によると、2015年〜2023年の間、北海道の建設投資額(出来高ベース)は概ね3兆円台半ばで推移しています。

人口減少が進む一方で、建設投資総額は大幅には減少していません。その背景には、公共工事の比率の高さがあります。

北海道では、建設投資全体のうち公共工事が約6割を占めています。全国平均は、近年、おおむね4割前後で推移しており、北海道は全国と比べて公共依存度が高い構造にあります。

 

北海道の公共工事の動向

公共投資には、
・道路・河川などの土木分野
・学校・庁舎・公共施設の建築分野
・インフラ更新・防災関連工事

などが含まれます。

電気工事に直接関係するのは、公共施設の新築・改修に伴う電気設備工事、道路照明、トンネル設備、防災無線設備、上下水道関連設備などの分野です。

特に北海道では、老朽化インフラの更新や防災・減災対策が継続的に予算化されており、一定の需要が維持されています。

公共工事は年度予算の影響を受ける一方で、民間投資の景気変動よりも振れ幅が小さい傾向があります。そのため、北海道の電気工事市場は、公共工事によって一定程度下支えされている構造にあります。

 

北海道の建築物着工床面積の推移

公共工事によって総額は一定水準を維持していますが、建築物のボリュームそのものが拡大しているわけではありません。

国土交通省「建築着工統計調査」(※6)によると、北海道の建築物着工床面積(住宅+非住宅合計)は、2014年に約1,340万㎡でしたが、2025年には約960万㎡まで減少しており、この10年あまりで約3割の縮小です。

建築物の着工床面積は、建物の規模を示す指標です。床面積が減るということは、建物の新築量が減っていることを意味します。結果として、新築に伴う電気設備工事の総量も縮小していると考えられます。

このように、北海道の電気工事市場は「新築ボリュームが縮小する中で、公共・更新・改修工事をどう取り込むか」が問われる局面に入っています。

(※5)情報元:国土交通省「建設総合統計
(※6)情報元:国土交通省「建築着工統計調査

 

設備更新・ストック市場の拡大

新築市場の縮小が続く中で、電気工事会社が向き合うべき市場は「新築」だけではありません。すでに存在している建物、すなわちストック市場の動きが、今後の需要を大きく左右します。

北海道では、新築着工床面積が減少する一方で、既存住宅の規模は依然として大きく、さらに更新需要も確実に発生しています。ここでは、築年数別のストック状況と改修需要の実態を整理します。

 

北海道の築年数別建築物ストック

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 」(※7)によると、北海道の持ち家総数は約138万戸です。

そのうち、1990年以前に建てられた住宅は約60万戸で、全体の約43%を占めています。さらに、2000年以前まで広げると約92万戸となり、全体の約3分の2が築25年以上の住宅です。

建物は築年数が進むほど、設備の更新時期を迎えます。分電盤、幹線、照明、コンセント、水回り電源、換気設備など、電気設備も例外ではありません。築30年前後を超えると、性能面や安全面から更新が必要になるケースが増えます。

実際に、北海道では2019年以降に何らかの増改築・改修工事を行った持ち家が約43万戸あり、全体の約31%にのぼります。特に、水回り改修や屋根・外壁改修といった工事が多く、これらは電気設備工事と密接に関わります。

このように、新築市場が縮小しても、既存ストックが消えるわけではありません。むしろ、築古ストックが厚い地域ほど、設備更新需要は継続的に発生します。

そのため、北海道の電気工事市場では、「既存住宅の更新をどう取り込むか」も重要なテーマになりつつあります。

 

省エネ・脱炭素投資

近年、非住宅分野ではZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の普及が進んでいます。ZEBデータベースによると、新築建築物に占めるZEBの割合は全国的に拡大傾向にあり、各都道府県で導入が進んでいます。

北海道においても、新築建築物に占めるZEB件数は一定割合を占めており、省エネ性能を高めた建築物への移行は着実に進んでいます。延床面積ベースでは全国平均を下回るものの、ZEBは特殊な一部案件ではなく、現実的な選択肢となりつつあります。

ZEB化には高効率設備や太陽光発電、エネルギーマネジメントシステムの導入が不可欠であり、電気設備工事の高度化・専門化が求められます。

新築市場が縮小する中でも、省エネ性能を軸とした案件は今後も一定の需要が見込まれる分野です。

 

太陽光発電・蓄電池の導入拡大

再生可能エネルギー分野では、太陽光発電設備の導入が全国的に拡大しています。資源エネルギー庁の公表データによると、固定価格買取制度(FIT)開始以降、各都道府県で太陽光発電の導入容量は増加を続けています。

北海道においても、住宅用太陽光に加え、事業用のメガソーラー案件が各地で整備されてきました。広い土地を活用できる地域特性もあり、発電設備そのものの設置需要は一定規模存在しています。

さらに近年は、発電設備単体ではなく、蓄電池やエネルギーマネジメントシステム(EMS)との組み合わせが進んでいます。自家消費型太陽光やBCP対策としての蓄電池導入は、工場・物流施設・公共施設などでも広がりを見せています。

太陽光発電や蓄電池の導入には、受変電設備、系統連系工事、制御設備など高度な電気工事が必要です。新築案件が減少する中でも、再エネ関連分野は電気工事会社にとって重要な受注領域の一つとなっています。

(※7)情報元:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査

 

北海道の電気工事市場をどう読むか

新築ボリュームは縮小傾向である一方で、公共工事は一定水準を維持し、既存ストックの更新需要は確実に存在します。さらに、省エネ・再エネ分野では専門性の高い案件が増えつつあります。

つまり、問われているのは「どの市場を取りにいくか」です。

ここまでのデータを踏まえると、北海道の電気工事会社にとっての今後を左右するポイントは、次の4点に整理できます。

・新築依存度を下げ、売上構成を分散できているか
・既存住宅・既存施設の更新案件を継続的に獲得できる体制があるか
・公共工事への入札・実績・体制を整えているか
・ZEB・太陽光・蓄電池など、専門性が求められる分野に対応できるか

案件の拡大を待つのではなく、需要の移動に合わせて自社のポジションを再設計できるかどうかが、今後の分かれ目になると言えるでしょう。

 

北海道の電気工事市場の変化と採用の重要性

更新案件や公共案件は、今後も一定規模で存在します。しかし、それを自社で受けられるかどうかは、“人材”にかかっています。

・更新工事を理解できる人材
・公共工事に対応できる人材
・再エネ分野に対応できる人材

売り手市場が続く中、こうした人材を採用することは簡単ではありません。

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