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2026.03.12

北海道の電気工事会社は冬に売上が落ちる?閑散期を乗り切る経営対策

北海道で電気工事業を営んでいると、冬に売上が落ちやすいことは多くの経営者が実感しているはずです。積雪や寒さの影響で屋外工事は減り、移動効率も下がります。

ただ、本当に向き合うべきなのは「冬に売上が落ちること」そのものではありません。北海道という環境のなかで、年間の売上や人員体制をどう設計するかです。

本記事では、冬の閑散期を前提として、北海道の電気工事会社が安定経営を実現するための全体像を整理します。

北海道の電気工事会社が直面する現実

北海道では、移動距離の長さや人口減少による人材不足といった地域課題に加え、冬の季節変動が経営に影響します。まずは、こうした前提条件から見ていきます。

北海道の電気工事会社が置かれている経営環境

北海道の電気工事業界の大きな特徴は、人口動態と商圏の広さです。

北海道全体では人口減少が続いており、2015年から2020年の5年間で約157,000人(-2.9%)の減少(※1)。とくに地方エリアでは若年層の流出が顕著です。この動きは、将来の担い手不足だけでなく、地域ごとの受注機会の差にもつながっています。

一方で、札幌市への人口集中は進んでいます。札幌周辺では案件数は比較的安定していますが、そのぶん競争も激しくなります。地方では競合が少ない反面、案件数自体が限られるケースもあります。このように、道内でも地域によって市場環境は大きく異なります。

建設投資の規模を見ると、2024年度の道内建設投資額は約3兆5,929億円、そのうち約60%が公共工事(※2)です。一定の市場規模は維持されていますが、地域差が大きいため、企業ごとに受注環境も異なります。

さらに、北海道は商圏が広く、現場までの移動距離が長くなりやすいという特性があります。道東や道北では、片道1時間以上の移動が日常的という企業も珍しくありません。移動時間の長さはそのまま稼働効率に影響し、少人数体制の企業ほど負担は大きくなります。

加えて、建設業全体で人材不足が続くなか、北海道でも有効求人倍率は1倍前後で推移しており、職種間のミスマッチも見られます。人口減少と採用競争が同時に進む中で、若手人材の確保はより難しくなっています。

こうした地域特性のうえに、北海道特有の季節要因が重なります。冬の影響は単なる気候問題ではなく、この経営環境のなかでさらに波を大きくする要素となります。

(※1)出典:総務省「国税調査」をもとに計算
(※2)出典:北海道建設部「令和6年度(2024年度)版 北海道における建設業の概況

北海道の建設投資や人口動向を踏まえた中長期的な市場見通しについては、「北海道の電気工事市場の現状と今後の動向【人口減少・建設投資・設備投資から読む将来性】」で詳しく解説しています。

冬の閑散期は「売上の波」を生み出す

北海道の電気工事会社では、新築や外構など屋外作業を含む案件の比率が高くなりやすい傾向があります。これらの工事は天候の影響を受けやすく、積雪や凍結の前に工程を進めようとするため、秋口までに案件が集中します。

冬になると着工数は自然と減少します。加えて、路面状況の悪化や交通事情の変化により、同じ距離でも移動時間は伸びます。防寒対策や安全管理の徹底も必要になり、作業効率は落ちやすくなります。

その結果、工事単価が変わらなくても利益率は下がりやすくなります。こうして春から秋に売上が偏り、冬は落ち込みやすいという流れが毎年繰り返されます。

重要なのは、この季節変動が単発の問題ではなく、年間の利益構造や人員体制に波を生み出す点です。

閑散期が経営に与える3つの影響

ここでは、冬の閑散期が経営に与える主な影響を3つに分けて解説します。

年間の粗利が安定しにくい

人件費や車両費、事務所費用などの固定費は、季節に関係なく発生します。一方で、冬に売上が落ちると利益率は大きく変動します。

春から秋にかけて利益を確保できていても、年間で見ると粗利の振れ幅が大きくなります。結果として、設備投資や人材採用の判断が慎重になりやすくなります。

重要なのは、繁忙期の利益だけで判断するのではなく、冬の売上減少を織り込んだ年間収支で経営を考えることです。

繁忙期の数字を基準に人員や外注を決めると、冬に入った途端に利益が圧迫されます。その繰り返しが、外注依存や採用の停滞につながります。

北海道で安定経営を目指すのであれば、冬を含めた年間の利益水準を基準に意思決定を行う必要があります。

外注に過度に依存してしまう

繁忙期には人手が足りず外注を増やし、冬には自社社員の稼働が下がる。この繰り返しは、内製化を進めにくくします。

外注比率が高い状態が続くと、売上が伸びても利益率は改善しにくくなります。一方で、繁忙期に案件を断らないためには外注を活用せざるを得ない場面もあります。

問題は、外注を使うことそのものではなく、「どこまでを外注に任せ、どこから自社で担うのか」を決めていないことです。基準がないまま外注を増やすと、内製化は進まず、利益体質も変わりません。

そのため、閑散期の扱い方は、外注体制を見直すための重要な判断材料になります。

若手育成が後回しになりやすい

繁忙期は目の前の現場対応が優先され、教育に時間を割きにくくなります。一方で、冬は案件自体が減り、若手に実務経験を積ませる機会が限られます。

このサイクルが続くと、計画的な育成が進まず、将来的な内製化や施工管理体制の強化が難しくなります。

人材育成は余裕があるときに行うものではなく、年間計画の中に組み込む必要があります。

北海道で売上を安定させるための案件戦略

北海道の電気工事会社にとって、冬の売上減少そのものをなくすことは難しいものの、案件の組み立て方を工夫することで、年間の売上の波を緩やかにすることは可能です。

そうした中でも、ここでは取り組みやすい案件戦略を紹介します。

融雪・ロードヒーティング関連工事

北海道特有の需要として、融雪設備やロードヒーティング工事があります。住宅や商業施設、公共施設では一定のニーズがあり、地域によっては継続的な案件が見込めます。

こうした設備の新設工事そのものは主に夏から秋にかけて行われますが、更新や修繕案件も発生します。北海道特有の分野として、継続的に取り組むことで一定の売上が見込めます。

融雪設備やロードヒーティング市場の具体的な需要動向や参入のポイントについては、別記事「北海道の融雪設備・ロードヒーティング工事の需要と市場動向【電気工事会社向け】」で詳しく解説しています。

改修・更新工事の強化

新築案件は季節の影響を受けやすい一方で、既存施設の改修や設備更新は通年で発生します。

照明のLED化、分電盤の更新、防犯・防災設備の増設などは、冬でも施工可能なケースが多く、安定的な受注につながりやすい分野です。

新築案件に偏よるのではなく、改修・更新案件の比重を高めることは、年間売上の平準化につながります。

メンテナンス契約の拡大

単発工事だけでなく、保守点検や定期メンテナンス契約を増やすことで、月次売上の安定が期待できます。

特に、店舗や医療施設、福祉施設などでは、定期点検のニーズがあります。こうしたメンテナンス契約型の売上は、閑散期の固定的な収入源となります。

公共案件の活用

北海道では建設投資の約60%が公共工事です。公共案件は入札条件や手続きが必要ですが、受注できれば一定の売上規模が見込めます。

特に地方エリアでは、公共工事が重要な売上源となっている企業も少なくありません。経審や電子入札への対応を進めることは、売上安定に向けた一つの選択肢です。

経審のポイントや電子入札の具体的な進め方については、「北海道の電気工事会社が公共入札を増やす方法」で詳しくまとめています。

北海道で安定経営を実現するための人材戦略

案件の組み立てを工夫しても、人員体制が追いつかなければ売上は安定しません。北海道という地域特性を前提に、人材の考え方も見直す必要があります。

ここでは、安定経営につながる人材戦略を具体的に紹介していきます。

外注依存から内製化へ段階的に移行する

繁忙期に外注へ頼る体制は、短期的には合理的です。しかし、外注比率が高い状態が続くと、売上が伸びても利益が残りにくくなります。

一方で、急に外注を減らすことは現実的ではありません。重要なのは、段階的に内製化の比率を高める計画を持つことです。

若手を育成し、施工管理や職長を自社内で担える体制を整えることで、利益率と現場品質の両立が可能になります。

冬を「育成期間」として活用する

冬は案件が減り、売上も落ちます。固定費は変わらないため、不安が大きくなる時期でもあります。

一方、この時期に資格取得の計画を立てる、施工手順を見直す、安全教育を実施するなど、具体的な取り組みを進めることで、繁忙期の現場でのミスや手戻りを減らすことができます。

手戻りや再施工が減れば、同じ人数でも処理できる案件数は増え、結果として利益率や生産性の改善につながります。

地域特性に合わせた採用戦略をとる

北海道内でも、札幌周辺と地方エリアでは採用環境が大きく異なります。

札幌では競争が激しく、給与や休日だけでなく、将来どんなキャリアを描けるのかまで示す必要があります。一方、地方では母集団自体が限られるため、地元出身者やUターン層を意識した募集設計が重要になります。

このように、地域ごとにターゲットを明確にし、伝える内容を変えることが、採用成功の確率を高めます。

北海道特有の採用難の背景や、地域ごとの採用設計については、「北海道の電気工事会社で採用が難しい理由とは?地域特性に合わせた採用戦略」で詳しく解説しています。

北海道で安定経営を実現するために

ここまで解説してきたように、北海道の電気工事会社は、地域特性と冬の季節変動を前提に経営を行う必要があります。

売上の波を見越した案件配分、内製化を意識した人員体制、そして将来を見据えた採用計画。この三つを同時に考えている企業ほど、利益の振れ幅は小さくなります。

とくに人材確保は、短期的に解決できるものではありません。安定経営を目指すのであれば、継続的に母集団を形成できる仕組みを持つことが重要です。

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北海道のように若手不足が続く地域では、「どこに求人を出すか」が採用の成果を左右します。

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