2026.03.12
北海道の電気工事会社が公共工事を受注するには?経審・電子入札の進め方
北海道では、建設投資の約6割を公共工事が占めています。地域によっては、公共案件が安定した受注源となっている電気工事会社もあります。
一方で、民間工事を中心に事業を展開している企業も多く、それぞれの強みや営業方針に応じた経営が行われています。
公共工事は、必ず取り組むべき分野というものではありません。ただし、年間の受注バランスを安定させる選択肢の一つとして検討する価値はあります。
本記事では、北海道の電気工事会社が公共工事を受注するために押さえるべき経審と電子入札の基本、そして受注を増やすための実務的な進め方を解説します。
北海道の電気工事業界の特性や季節変動の影響については、下記の記事で詳しく解説しています。
CONTENTS
北海道における公共工事の位置づけ
北海道では、公共工事が建設市場の中で大きな割合を占めています。ただし、その意味合いは地域によって異なります。
地方エリアでは、自治体発注の学校、庁舎、道路関連設備などが継続的に発生しており、公共工事が安定した受注源となっている企業もあります。
一方で、札幌圏では民間案件も多く、公共工事は競争が激しい分野でもあります。
重要なのは、「北海道では公共工事が多い」という事実だけで判断しないことです。
自社の営業エリアにおいて、公共案件がどの程度発生しているのかを把握することが出発点になります。
北海道の建設投資と公共比率
北海道の建設投資に関する最新の統計では、2024年度の道内建設投資額(出来高)は 約3兆5,929億円 でした。
そのうち 公共工事の建設投資額は2兆1,456億円(約59.7%) と、6割近くを占めています(※1)。これは全国平均と比較しても高い水準にあります。
電気工事に関連する分野では、
・公共施設の新築・改修
・道路照明やトンネル設備
・学校や庁舎の電気設備更新
などが主な対象となります。
公共工事は予算に基づいて発注されるため、景気変動の影響を受けにくいという特徴があります。そのため、年間売上の一部を公共で構成している企業は、受注の振れ幅が比較的小さい傾向があります。
(※1)出典:北海道建設部「令和6年度(2024年度)版 北海道における建設業の概況」
公共工事の仕組みと特徴を理解する
ここでは、公共工事そのものの仕組みと特徴を整理していきます。
民間工事とは何が違い、どのような評価基準で受注が決まるのかを理解することが、経審や電子入札を活用する前提になります。
民間工事と公共工事の違い
公共工事は、民間工事と異なり、発注方式や評価基準が制度として定められています。
主な特徴は次の通りです。
・一般競争入札、指名競争入札、随意契約など発注方式が決められている
・経営事項審査(経審)の評点が参加資格や格付けに影響する
・工事成績評定が次回以降の入札評価に反映される
価格や提案内容だけで受注が決まるわけではなく、企業の経営状況や過去実績が数値として評価されます。
そのため、民間営業の延長線上で考えるのではなく、制度を理解したうえで評価を積み上げていく受注戦略が必要になります。
公共工事のメリット
公共工事を受注するメリットとしては、次のような点が挙げられます。
・発注元が自治体や官公庁のため、支払いリスクが低い
・仕様や積算基準が明確で、単価の大幅な値下げ交渉が起きにくい
・工事成績を積み上げることで、継続受注につながる可能性がある
特に地方エリアでは、一定規模の公共案件を継続的に受注できれば、年間売上の土台を安定させることができます。
公共工事のデメリット
一方で、公共工事には独自の負担もあります。
・入札参加資格や書類手続きが煩雑
・価格競争になりやすい案件もある
・施工管理体制や安全管理体制が厳しく求められる
また、経営事項審査(経審)や工事成績評定が次回以降の受注に影響するため、単発ではなく継続的な評価管理が必要になります。
公共入札に参加するための基本ステップ
公共工事に参加するには、営業活動よりも先に制度上の準備が必要です。流れ自体はおおむね全国共通で、大きく次の3ステップに分かれます。
STEP1:経営事項審査(経審)を受ける
まず行うのが、経営事項審査(経審)の受審です。
経審は、建設業者の経営規模・技術力・財務状況などを数値化する制度で、結果は「総合評定値(P点)」として示されます。
このP点がなければ、原則として公共入札には参加できません。
評価対象となる主な項目は以下の通りです。
・完成工事高
・技術職員数・有資格者数
・財務状況
・社会保険加入などの社会性
STEP2:入札参加資格を申請する
経審を受けた後、各自治体に対して入札参加資格申請を行います。
ここで注意すべきなのは、北海道庁、各振興局、市町村と、申請先が自治体ごとに異なる点です。そのため、それぞれに資格申請が必要になる場合があります。
自治体によっても異なりますが、申請時には主に下記のような書類を提出します。
・建設業許可証
・経審結果通知書
・納税証明書
・技術者名簿
なお、多くの自治体で2年ごとに更新が必要になります。
STEP3:電子入札に対応する
資格登録が完了すると、電子入札システムを通じて案件に参加できるようになります。
そのためには利用者登録が必須で、その際、電子入札用ICカードやカードリーダーなどを用意する必要があります。
その後、実際に入札する流れは、大まかに次のようなものになります。
1.入札公告の確認
2.参加申請
3.電子で入札書提出
4.開札結果確認
このように、入札までには申請や登録など複数の手続きが必要ですが、手順自体は整理されています。
必要な準備を順番に進めれば、中小規模の電気工事会社でも十分に参加は可能です。
中小電気工事会社が公共案件を増やす現実的な戦略
ここでは、実際に公共案件を増やしていくために、中小電気工事会社が取るべき現実的な進め方を整理します。
最初から大型案件を狙わない
公共工事に参入する際、いきなり高額案件を狙うのは現実的ではありません。
等級が低い段階では参加できる案件も限られますし、実績がない状態では価格競争になりやすく、落札も安定しません。
まずは、
・小規模な修繕工事
・学校や庁舎の設備更新
・防犯灯や照明改修
といった案件から実績を積み上げることが現実的です。
特に地方自治体では、小規模案件が継続的に発生します。こうした案件で確実に施工実績と工事成績を積み重ねることが、次の入札機会につながります。
等級アップを見据えた経営
公共案件を増やすうえで重要なのは、単発受注ではなく「等級の引き上げ」を意識した経営です。
等級や入札参加条件は、主に次の要素で決まります。
・技術者数・有資格者数
・完成工事高
・財務体質
そのため、受注戦略と経営管理は切り離せません。
たとえば、
・技術者を計画的に採用・育成する
・公共案件の完成工事高を一定水準に維持する
・自己資本比率を意識した財務運営を行う
といった取り組みが、次回の経審や格付けに影響します。
公共案件は「営業力」だけで増える分野ではありません。評価基準を理解し、その数値を意識して経営を組み立てる必要があります。
民間案件とのバランス
公共案件を増やすことは、経営の安定につながる可能性があります。しかし、公共依存が高くなりすぎると、次のようなリスクも生じます。
・入札不調や落札失敗による売上変動
・予算縮小の影響
・特定自治体への依存
そのため、民間案件と公共案件の比率をどう設計するかが重要です。
すべてを公共案件に寄せるのではなく、「民間で利益率を確保する」「公共で売上の土台をつくる」といった役割分担を明確にすることで、年間売上の安定性は高まります。
公共案件は「増やせばよい」というものではありません。自社の営業エリアや体制に合わせて、どの比率で組み込むかを設計することが現実的な戦略です。
公共案件を安定受注するための体制づくり
公共工事は、制度を理解し、戦略を立てれば受注できるというものではありません。継続的に受注するためには、それを支える社内体制が不可欠です。
ここでは、公共案件を安定的に回すために必要な体制について解説します。
主任技術者・監理技術者の確保
公共工事では、主任技術者や監理技術者の専任配置が求められます。
具体的には、次のような資格・体制が必要です。
・所定の資格
・一定年数の実務経験
・専任要件を満たす配置体制
有資格者が不足している場合、入札に参加できない、あるいは受注しても同時施工が制限されることがあります。
公共案件を増やすということは、技術者を増やすこととほぼイコールです。
書類・工程管理体制の整備
公共工事では、施工品質だけでなく、書類管理や検査対応も厳しく求められます。
・工事台帳の整備
・写真管理
・出来形・検査対応
これらを現場任せにせず、組織として管理できる体制が必要です。
書類対応が不十分なまま受注を増やすと、現場負担が過剰になり、評価にも影響します。
人材確保が前提になる理由
公共案件では、技術職員数や有資格者数が経審点数に直結します。
つまり、次の要素が次回以降の受注可能範囲を決めます。
・技術者数
・施工管理体制
・経験年数
案件があっても、人がいなければ受注は増えません。評価制度の中で戦う以上、人材戦略は切り離せない要素です。
公共工事を経営戦略にどう組み込むか
ここまで解説してきたように、経営事項審査(経審)を受け、入札参加資格を取得し、電子入札に対応する。この手順を踏めば、入札に参加できる状態になります。
ただ、重要なのは、その先をどう設計するかです。
公共工事を主力にするのか。民間を補完する一分野にするのか。年間売上の中でどの程度を公共で構成するのか。その方針によって、必要な体制は変わります。
そして、継続受注の前提になるのが人材体制です。経審では技術職員数や有資格者数が評価され、受注後も施工管理や書類対応を担える人材が必要になります。
公共工事は、制度への対応力と人材体制の両方が問われる分野です。北海道で公共案件の獲得を狙うなら、その二つをあわせて整えることが前提になります。
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公共案件を視野に入れる企業にとって、有資格者の確保は経審評価にも直結します。必要な人材に効率よく出会えるかどうかは、受注戦略そのものに影響します。
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