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2025.11.04

電気工事業の無駄を削る!中小企業向け業務改善の実践ガイド

「現場の作業が非効率で残業が減らない」
「社員ごとにやり方が違い、工期が読めない」

こうした悩みを抱える電気工事会社は少なくありません。

電気工事業では、現場作業・設計・事務処理など複数の工程があり、どこにムダがあるのか見えづらいのが実情です。

本記事では、中小規模の電気工事会社が“今すぐできる業務改善”を、現場・設計・事務の3つの領域に分けて解説します。

 

電気工事の現場で生じる典型的な非効率とは?

電気工事の現場では、同じ仕事をしていても「人によって作業スピードが違う」「段取りのずれで待ち時間が発生する」など、日常的に多くのムダが生まれています。

特に中小の電気工事会社では、ベテラン社員の“勘と経験”に頼る場面が多く、仕組みとして改善されにくいのが現実です。

ここでは、電気工事業でよく見られる非効率の原因と、その中でも多い「時間のロス」について整理していきます。

 

「人に依存したやり方」が非効率の根本原因

電気工事の現場は、作業内容・現場状況・協力会社との連携など、状況が毎回異なります。

そのため、「ベテランがやり方を決める」「新人は見て覚える」といった属人的な運用が定着しやすい傾向にあります。しかし、一見スムーズに見えるこのやり方も、以下のような課題を生みがちです。

・現場ごとに進め方が違い、作業の品質やスピードにバラつきが出る
・ベテランが不在の日は指示が止まり、作業が進まない
・新人が育たず、いつまでも“教わる側”のままになる

こうした「人に依存したやり方」は、企業としての生産性を下げる最大の原因です。

まずは作業手順を共有・見える化し、写真付きの簡易マニュアルや進捗ボードを整えることで、誰でも同じレベルで作業を進められる環境づくりが必要です。

 

現場でよくあるムダ時間3つ

電気工事の現場で発生するムダ時間は、主に「移動」「探す」「待つ」の3つに分類できます。

1. 移動のムダ

工具や資材を忘れて倉庫に戻る、確認のために何度も事務所と往復する——こうした小さな移動ロスが積み重なると、1日あたり1〜2時間のムダになることもあります。

2. 探すムダ

図面・部材・写真・伝票などがバラバラに管理されていると、「必要な情報がすぐ見つからない」状態に。現場フォルダや共有ツールを整えるだけでも、探す時間を大幅に削減できます。

3. 待つムダ

「次の工程の指示がこない」「現場監督の確認待ち」「他業種の作業が終わらない」といった“待機時間”もよくある課題です。工程表やチャットで進捗を共有するだけで、こうした待ち時間を最小限に抑えられます。

これら3つのムダは、どれも一度仕組みを整えれば改善できる領域です。

まずは「どの作業にどれだけの時間がかかっているか」を可視化し、チーム全体で共有することが、業務改善の第一歩になります。

 

改善の第一歩は「見える化」から

業務改善と聞くと、「システム導入」「DX化」など大掛かりなものを想像しがちですが、最初の一歩はもっとシンプルです。

現場で起きている「ムダ」を“見える形”にすること。つまり、「どこで時間がかかっているのか」「なぜ作業が止まったのか」を、誰でも確認できるようにすることから始めましょう。

 

業務フローを分解してムダを洗い出す

まず取り組みやすいのが、「1日の仕事の流れを書き出す」ことです。たとえば以下のように、朝の出発から帰社までを分解してみましょう。

7:30 出社・準備
8:00 現場到着・段取り確認
10:00〜 作業開始
15:00 資材調達のため中断
17:00 現場片付け・報告書作成

こうして時系列で可視化すると、「資材調達のための中断が多い」「報告書作成に時間がかかる」など、ムダや重複が具体的に見えてきます。

最初は手書きでも十分です。その後、Excelで簡易工程表や作業一覧を作成し、どの作業が誰に偏っているかを整理していきます。

最終的に、現場報告アプリなどを導入すれば、スマホで進捗を登録するだけで自動的に集計・分析できるようになります。

 

現場写真・進捗の共有ルールを統一する

もう一つの見える化ポイントが、「情報共有のルールづくり」です。多くの現場では、「誰が・どこで・何をやっているか」が共有されておらず、報告漏れや写真の重複が発生しています。

たとえば、以下のようなルールを設けるだけでも大きく改善します。

・現場写真は「日付+現場名+工程」でフォルダを作成
・写真は「全体・中間・完了」の3枚を基本セットにする
・進捗報告はチャットツール(LINE WORKS、Chatworkなど)で即時共有
・報告書フォーマットを統一して、記入漏れを防止

これらをチーム全体で習慣化すれば、確認や指示がスムーズになり、待ち時間や手戻りが減少します。

とくに写真の整理と進捗共有は、社内教育や顧客報告にも応用できる重要な情報資産になります。現場で蓄積された“記録”をチームで共有できる仕組みが、結果的に生産性を高める最大のポイントです。

 

設計・見積・事務処理の効率化アイデア

現場の生産性を高めても、社内での「見積・書類・請求処理」にムダが残っていれば、最終的な利益は伸びません。

特に中小規模の電気工事会社では、「事務作業の二度手間」や「情報共有の抜け漏れ」が非効率の大きな要因になっています。

ここでは、少人数でもすぐに取り入れられる“設計・事務の効率化アイデア”を紹介します。

 

見積・原価管理の二度手間を減らす

見積作成や原価管理でありがちな問題は、「現場ごとにフォーマットがバラバラ」「同じ情報を複数回入力している」ことです。このムダを減らすには、テンプレートと入力ルールの統一が効果的です。

たとえば、下記のようなルールを作るだけで、「どの見積がどの現場か分からない」「単価が毎回ずれる」といった混乱を防げます。

・見積書テンプレートを統一し、材料・人工・諸経費の欄を固定化する。
・Excelマクロやスクリプトを使い、単価登録済みリストから自動計算する仕組みを導入。
・案件番号制を採用し、現場報告書・見積書・請求書を同じ番号で紐づける。

また、設計図面や配線計画書の電子データ化も有効です。紙図面をスキャンしてクラウド共有することで、現場・事務・経営層の三者がリアルタイムで同じ情報を確認できます。

こうした小さな仕組み化が積み重なれば、見積精度も請求スピードも一気に向上します。

 

現場報告から請求までを一気通貫で管理する

もう一つの非効率ポイントは、「現場報告→日報→請求処理」が分断されていることです。特に、紙伝票での報告は集計に時間がかかり、転記ミスや請求漏れも起こりがちです。

最近では、スマホやタブレットから入力できるクラウド型の現場報告アプリを導入する企業が増えています。これは、現場担当者が「作業内容・使用材料・作業時間」を登録すると、そのまま事務側で請求書や原価台帳に反映される仕組みです。

たとえば、下記のような「一気通貫」の運用により、報告ミス・請求漏れ・誤請求といったトラブルが大幅に減少します。

・報告内容をもとに自動で請求書が下書き生成される
・作業完了報告と写真を添付すれば、顧客報告にも転用可能
・承認フローを設定すれば、現場と事務でダブルチェックが可能

すぐにシステムを導入しなくても、まずはExcelで現場報告書と請求リストを同一シート管理するだけでも効果はあります。

重要なのは、“現場の記録が請求につながる流れ”を途切れさせないことです。

 

社内全体で改善を定着させるコツ

どれだけ良い仕組みを作っても、「一部の人だけがやっている」状態では、すぐに形だけになってしまいます。

業務改善を一過性の取り組みで終わらせないためには、社内全体で“続ける仕組み”をつくることが大切です。

ここでは、現場と事務、経営者が一体となって改善を根づかせるためのポイントを紹介します。

 

小さな成功体験を共有する

改善を進めるうえで最も効果的なのは、「成功した事例を共有すること」です。

たとえば、「現場報告を写真付きにしたら確認の手間が減った」「見積テンプレートを使ったら作業時間が30分短縮できた」といった、日常の小さな工夫を全員で共有する仕組みを設けましょう。

実際に試してうまくいった方法を評価し、他の現場にも展開することで、自然と「改善が褒められる文化」が生まれます。

 

トップが「継続の旗振り役」になる

改善を定着させるもう一つの鍵は、経営者や管理者が“旗振り役”になることです。

どんなに優れたアイデアでも、「上が関心を示さない」「評価につながらない」と、現場はすぐに元のやり方に戻ってしまいます。

重要なのは、「完璧を求めず、現場と一緒に進める姿勢」です。DX化や新システム導入を急ぐよりも、「まずは紙からExcelに変えてみよう」「共有フォルダを整理してみよう」といった、できる範囲の改善を支援するリーダーシップが求められます。

社内で改善が根づく会社は、どこも「トップが最初に行動し、最後まで伴走している」ものです。小さくても続けられる取り組みを積み重ねることが、結果的に大きな業務効率化につながります。

 

電気工事業の業務改善でよくある質問

業務改善に取り組みたいと思っても、「時間がない」「人が足りない」「ツールが続かない」といった悩みを抱える会社は少なくありません。

ここでは、現場からよく寄せられる3つの質問に答えながら、“無理なく続ける改善”のヒントを紹介します。

 

Q1:現場が忙しくて改善に時間を割けません

確かに、日々の現場対応に追われる中で「改善の時間をつくる」のは難しいものです。しかし、改善は“新しいことを増やす”のではなく、“ムダを見つける”ことから始められます。

たとえば、1日10分だけ「今日ムダだったこと」をメモに残すだけでも十分です。「何度も確認に戻った」「部材を探すのに時間がかかった」などを記録しておくと、次第に共通の課題が見えてきます。

それを週1回のミーティングで共有するだけで、自然と改善のサイクルが生まれます。

 

Q2:ツールを導入しても定着しません

ツールが続かない原因の多くは、「目的が共有されていない」ことにあります。 導入前に「何のために使うのか」「誰が入力するのか」「どんな成果を見たいのか」を全員で明確にしておきましょう。

たとえば、「現場写真をまとめるため」「日報を省力化するため」など、使う理由を一言で説明できる状態”を目指すことがポイントです。

 

Q3:人手が少ない会社でもできますか?

はい。人手が少ない会社ほど、改善の効果は大きく表れます。人数が限られている分、「誰が・いつ・何をするか」を明確にするだけで作業のムダが減るからです。

たとえば、「日報をまとめるのは金曜の午後」「部材発注は毎朝9時までに確認」といったルールを決めるだけでも、業務が整理されます。

改善の本質は「時間を増やすこと」ではなく、「時間を取り戻すこと」。小さな仕組み化を積み重ねることで、少人数でも安定した業務運営が実現します。

 

業務改善は “採用力アップ”にもつながる

現場のムダをなくし、社員が働きやすい環境をつくることは、結果的に“採用力の強化”にもつながります。

そうした観点から電気工事業界特化の採用サイト「電工ナビ」では、働く人の定着・採用を支援するために、職場改善・教育・採用広報のヒントをまとめた無料資料をご用意しています。

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