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2025.11.14

電気工事士が独立前に使える補助金・助成金【設備投資・資格取得に活用しよう】

「開業したいけど資金が足りない」
「工具や資格取得にかかる費用が不安」

電気工事士として独立を目指す方にとって、最初にぶつかるのが“お金”の問題です。
実は、独立準備中の個人でも使える補助金や助成金制度が数多く存在します。しかも設備投資だけでなく、資格取得や講習受講に活用できる支援策も充実しています。

本記事では、電気工事士の“独立前”に使える制度を、目的別にやさしく整理しました。
「どの制度が自分に使えるの?」という疑問に答える一歩先のガイドとして、ぜひご活用ください。

 

電気工事士の独立準備に使える補助金・助成金とは?

独立を目指す電気工事士が直面する課題を金銭面でサポートしてくれるのが、国や自治体が提供する補助金・助成金制度です。

このセクションでは、制度の基本的な仕組みと具体的な制度を紹介します。

 

補助金と助成金の違いは?

「補助金」と「助成金」はどちらも国や自治体から支給される公的な資金ですが、その仕組みや性質には違いがあります。
ただし、この2つの用語は法律上、厳密に定義されたものではありません。中小企業庁などの公的機関は、実務的な区分として以下のように紹介しています。

・補助金:申請後に審査があり、採択された事業者にのみ支給される制度です。
・助成金:一定の条件を満たせば支給される制度で、原則として不採択はありません。

どちらも返済不要な支援金ですが、「計画性が必要な補助金」と「条件クリアが重視される助成金」という違いを理解しておくことが大切です。

 

独立準備で活用しやすい補助金・助成金制度一覧

電気工事業界で独立・開業を目指す際、初期費用の負担を軽減できる補助金・助成金制度はいくつか存在します。ただし、こうした制度は必ずしも「独立前」に申請できるわけではなく、多くは開業届を提出した個人事業主、あるいは法人を設立した事業者が対象となります。

そのため、この記事では「独立の準備段階(個人開業直後〜設備導入期)」に使いやすい制度を中心に紹介します。

制度名 種類 想定される活用シーン 主な対象条件
小規模事業者持続化補助金 補助金 チラシ作成、HP制作、営業車の導入など 開業届を提出済の個人事業主、または従業員5名以下の法人
自治体の起業支援金 補助金・給付金 事務所開設、工具購入、家賃補助など 地域や年度によって条件が異なる。都道府県や市区町村で確認を
人材開発支援助成金 助成金 従業員(例:親族や新規採用者)への技能講習 雇用保険適用事業所(=開業後+雇用開始済)であること
中小企業デジタル化応援隊等のIT補助金 補助金 見積・請求のクラウド化、現場管理アプリ導入など 開業後の導入に適する。年度ごとに公募あり
ものづくり補助金 補助金 工具一式の大量導入や加工設備への投資 実績ある法人向け。独立初期には難易度高め

 

[補助金・助成金活用時の注意点]

補助金は審査があり、採択されるまでに時間がかかるため、資金計画に余裕をもって申請しましょう。また、助成金は条件を満たせば原則受給可能ですが、申請期限や提出書類の不備によって不支給となるケースも多いため注意が必要です。
自治体独自制度の情報は、市区町村の産業振興課・創業支援窓口などに直接確認するのが確実です。

[開業届を出すだけで対象になる制度もある?]

補助金や助成金の多くは、「事業実態」があることを条件にしています。
その第一歩となるのが、税務署に「開業届」を提出すること。無料で提出でき、事業所名や業種(例:電気設備工事)を登録するだけで「事業者」として認められます。
独立を決意したら、まずはこの開業届の提出から始めるとよいでしょう。

 

ケース別に紹介! 独立準備に使える制度

電気工事業界で独立する際には、「どのタイミングで」「どの費用に対して」補助金・助成金を使えるかが分かりにくいのが現実です。

ここでは独立準備期によくある3つのケースに分けて、活用しやすい制度を具体的に紹介します。

 

「設備・工具を揃えたい」

開業初期の大きな出費のひとつが「工具や計測器、脚立、作業着、材料などの購入費用」です。これらに対して使いやすいのが、以下のような補助金制度です。

[小規模事業者持続化補助金]

【用途例】:インパクトドライバ、電工工具セット、社名入り作業服の購入など
【補助額】:最大50万円(特例事業者は上限200万円)
【ポイント】:開業届提出後すぐ申請可能。経営計画書の提出が必要ですが、設備購入に柔軟に使える点が特徴です。

[自治体の創業支援補助金]

 

【用途例】:車両購入・内装費・現場設備への支出
【対象】:東京都、名古屋市、福岡市など大都市圏を中心に多数存在
【注意点】:年度によって募集が終了していたり、抽選制の自治体もあるため、早めの情報収集が重要です。

 

「新たに雇用する従業員の資格取得・講習受講を進めたい」

「第二種電気工事士」「登録電気工事基幹技能者」などの資格取得や、技術向上のための講習受講も必要になることがあります。こうしたスキルアップに活用できるのが「人材開発支援助成金」です。

[人材開発支援助成金(特定訓練コース)]

【対象】:雇用保険に加入している開業済の事業主(自営業でも可)
【用途例】:資格取得の外部講座費用、講習中の賃金補填
【補助例】:講習費の45%+時間あたり760円の賃金補助(条件あり)

たとえば、10万円の研修講座を受講した場合でも、約4〜5万円が補助されるケースもあります。

 

「事務所・車両・開業登記などに使いたい」

意外に見落としがちなのが、以下のような“開業インフラ”に関する費用です。

・作業車・軽バンの導入
・作業事務所の開設(家賃、賃貸契約初期費用)
・法人登記の登記費用・税理士相談費用

これらに直接使える補助制度は限られますが、開業しようとしている自治体で以下のような支援が受けられるか、事前に問い合わせてみましょう。

[創業補助金]

【用途例】:開業支援として車両購入や事務所の改装費
【注意点】:地域によって支援内容・上限額・対象条件が大きく異なるため、自治体の創業支援サイトで確認が必要

[商工会議所の開業支援+経費補助]

商工会議所の無料支援制度に申し込むと、登記費用の一部補助や、創業融資の斡旋を受けられるケースがあります。

 

地域別・電気業界向け支援制度の探し方

すでに紹介した通り、電気工事士の独立支援に使える補助金・助成金の中には、国レベルの制度以外に「市区町村が独自で提供している制度」も多数存在します。

このような地域独自の支援は見逃されがちですが、条件が合えば非常に手厚い支援が受けられることもあります。

 

市区町村でここまで違う!制度サンプル3選

地方自治体の補助金・助成金は、「創業支援」「起業促進」「地域産業振興」などの名目で実施されており、対象業種が幅広く設定されていることも多く、電気工事業の独立・開業も十分対象になり得ます。

以下に、制度の特徴がわかりやすい事例を3つ紹介します。

● 東京都(都内全域)「創業助成事業(東京都中小企業振興公社)」

【補助対象】:賃借料、人件費、器具備品費、広告費、委託費 等
【補助率・上限】:対象経費の2/3以内、上限300万円(下限100万円/公募回で変動あり)
【特徴】:創業予定者〜創業5年未満等を対象(公募要件・受付時期は年度ごとに告知)

参考:https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/sogyo_josei.html

● 愛知県名古屋市「スタートアップ企業支援補助金」

【補助対象】:人件費、原材料/副資材、委託費、設備(機械装置等)、広報費、知財関連費 など
【補助率・上限】:対象経費の1/2以内・上限1,000万円(審査採択制)
【特徴】:市内での新事業に挑むスタートアップを対象。募集要項・Q&Aを市が公開

参考:https://nagoya-innovation.jp/news/files/pdf/fe92c2c96b27369651879eaeb844aa86233b5c1a.pdf

● 北海道札幌市「さっぽろ新規創業促進補助金」

【補助対象】:機器・設備導入、広告宣伝、外注/委託、人件費 等(市内での創業・事業拠点整備が前提)
【補助率・上限】:対象経費の1/2以内、上限300万円
【特徴】:創業予定者や創業後間もない事業者の初期投資を広くカバー。年度公募で詳細告知

参考:https://www.sapporo-cci.or.jp/web/purpose/04/details/post_103.html

 

助成金・補助金を探す時のコツとおすすめリンク集

市区町村の補助金・助成金は、情報が分散しており見つけにくいこともあります。そこで、下記の方法を活用すると効率的に探すことができます。

[制度を探すコツ]

・「〇〇市 補助金 創業」「〇〇市 起業支援」など地域+目的で検索
・商工会議所・商工会・信用金庫など地域支援機関のHPを確認
・地元自治体の「産業振興課」「中小企業支援課」ページをチェック
・可能であれば、電話で窓口に問い合わせる(その場で詳細や申請書類の入手方法を案内してもらえることも)

[おすすめリンク]

サイト名 概要
ミラサポplus 中小企業庁運営。全国の補助金・支援情報を検索可能
J-Net21 支援情報ヘッドライン 独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営。都道府県・市区町村別に検索可能

 

電気工事業界での独立(補助金・助成金活用)でよくある質問

ここでは、電気工事業界での独立にあたり、補助金・助成金関連でよくいただくご相談について回答していきます。

 

Q1:個人事業主でも申請できますか?

申請できる制度は多数あります。国や自治体の補助金・助成金の多くは、「法人」「個人事業主」を問わず利用可能です。特に開業届を提出していれば、個人事業主として正式に対象になります。

ただし、事業計画書の提出や、経営実態の証明(確定申告書・開業届など)が求められる点には注意が必要です。開業準備中の段階では、「創業予定者枠」がある制度を探すとよいでしょう。

 

Q2:独立前でも補助金は使える?

一部の制度では可能です。たとえば東京都の「創業助成事業」や札幌市の「新規創業促進補助金」などでは、“創業予定者”として申請できる枠があります(採択後に法人設立や開業届の提出を行うことが条件)。

一方で、すでに事業を始めていることが前提の制度(例:事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金など)もあるため、申請時点でのステータスを確認することが重要です。

独立前に申請を検討する場合は、「創業支援」「開業準備」「創業予定者」などのキーワードで自治体サイトを検索すると、対象制度を見つけやすくなります。

 

Q3:複数制度を使うと不正受給になる?

原則として、同一経費に対して重複して補助・助成を受けることはできません。たとえば、同じ工具購入費を複数の補助金に申請すると、不正受給とみなされる場合があります。

一方で、工具購入に補助金を活用し、資格取得に助成金を活用するなど、用途が異なれば複数制度を併用することは可能です。

制度ごとにルールや申請書式が異なるため、最終的には各窓口(商工会議所、ハローワーク、自治体担当課など)に事前確認を行うことをおすすめします。

 

独立はゴールではなく、“次のステップ”の始まりです

独立して電気工事業を始めることは、ゴールではなく、自分の技術と信頼を形にする新たなスタートです。

しかし、開業後には「人手が足りない」といった新たな壁に直面する方も少なくありません。そんなときに頼れるのが、電気業界に特化した求人サイト「電工ナビ」です。
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