コラム

COLUMN

HOME /コラム/電気工事会社を法人化するタイミングとは?一人親方からのステップアップ【完全ガイド】

2025.11.21

電気工事会社を法人化するタイミングとは?一人親方からのステップアップ【完全ガイド】

「個人のままで続けるか、それとも会社を設立すべきか」 電気工事士として独立し、事業が軌道に乗り始めた一人親方の多くが直面する悩みです。

本記事では、電気工事業を法人化するためのベストタイミングの見極め方、会社設立までの具体的ステップ、そして法人化後に取り組むべき成長戦略まで解説します。

 

電気工事会社の法人化とは?

法人化とは、個人事業として行っていた電気工事業を、株式会社や合同会社など法人格を持つ事業体に移行することを指します。

事業主体が「個人」から「会社」へと分かれ、契約や税務、社会保険などが明確に管理できるようになることが、法人化するメリットです。

電気工事業は建設業に分類され、法令順守・安全管理・品質保証が重視される分野です。そのため、元請け企業との取引では「法人格の有無」や「社会保険加入状況」が信用判断の大きな基準になります。

個人の技術力だけで勝負できた時代から、体制と信用を備えた組織が選ばれる時代に変わりつつある今、法人化は次の成長段階に進むための現実的な選択肢と言えるでしょう。

 

一人親方と法人の違い

独立後の電気工事士は“一人親方”と表現されるケースがあります。一人親方は個人事業主と捉えられるため、契約・支払い・万が一の事故対応などの責任がすべて代表者個人に紐づきます。

一方、法人化すると責任の主体が会社に移ります。定款・議事録・社内規程を整えることで仕事の進め方や管理の仕組みを他の社員にも引き継ぎやすくなり、安定した経営がしやすくなります。

また税務面でもメリットがあります。個人事業では「所得税(累進課税最大45%)」が課されますが、法人化すると「法人税+役員報酬(実効税率約30%前後)」という形になり、事業の規模によっては税金の負担を抑えられることがあります。

さらに、社会保険加入や労務体制の整備により、採用時にも求職者からの信頼性を得やすくなります。

 

法人化で広がる信用と成長のチャンス

法人化すると、金融機関や元請けからの評価が高まり、取引や契約の幅が広がります。

例えば、長期の契約を結びやすくなったり、・協力会社として正式に登録されたり、融資の審査に通りやすくなるといったメリットもあります。そのため、事業用車両や高所作業車の導入、リース契約、計測機器の更新といった設備投資も計画的に進めやすくなります。

また、建設業許可を取得するための準備(経営管理責任者・専任技術者・財務要件など)も進めやすくなり、請け負える工事の幅が広がる点も法人化の大きな利点です。

 

法人化を検討するベストタイミング

法人化を検討する際には「損益・体制・取引条件」の3つの視点で判断するのが現実的です。ここからは、それぞれの視点を解説していきます。

 

損益面:売上・利益から見る判断基準

目安として、年間の売上が800~1,200万円・所得が600万円を超えるあたりからは、個人事業主としての所得税(累進課税)が重くなりやすく、法人化によって手取りが増える可能性があります。

法人では給与(役員報酬)と事業経費を明確に分けられるため、資金繰り・利益管理がしやすくなります。

ただし、報酬額の決め方や経費の扱い方によって税金の額は変わるため、実際に法人化を検討する際は、税理士にシミュレーションを依頼して確認するのがおすすめです。

 

体制面:従業員数・稼働構成から見る判断基準

普段から2名以上で現場を担当している場合や、外注の職人を継続的に抱えている場合は、法人化を検討すべきタイミングと言えます。

法人にすることで、社会保険への加入や安全管理体制を会社として整備しやすくなり、労働環境の信頼性が高まります。

また、雇用契約や勤怠管理などを会社としてしっかり運用できるようになるため、従業員の育成が進みやすく、工事品質や安全面の安定にもつながります。

 

取引条件面:社会保険・建設業許可との関係

元請けから社会保険証明の提出を求められたり、協力会社登録条件に法人格が明記されている場合も、法人化を急ぐべきタイミングと言えるでしょう。

社会保険については、法人は原則として健康保険・厚生年金の適用事業所になります。役員1名の会社でも、役員報酬を支払う場合は加入対象となることが多いです。

実際の取り扱いは「常時使用する従業員」の有無や役員の働き方で異なるため、所轄の年金事務所で確認すると確実です。

▶ 参考:日本年金機構「事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」 https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/jigyosho/20141205.html

また、電気工事を税込500万円以上で請け負う場合は、建設業許可が必要です(判定は材料費・消費税を含む金額で行います)。建築一式工事は目安が1,500万円以上です。

金額が境目に近い案件は、見積の内訳や工事のまとめ方で判断が変わることがあるため、事前確認をおすすめします。

▶ 参考:国土交通省「建設業の許可とは」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html

 

法人化にともなうコストとリターン【電気工事業特化】

登記費用や税理士報酬など、一定のコストがかかります。 しかしその分、経営状況を数字で把握しやすくなり、銀行融資やリース契約などの資金調達も進めやすくなります。

また、会社としての信用が高まることで、元請けからの直接受注や協力会社登録のチャンスも広がります。特に設備投資や取引規模が大きい電気工事業では、法人化による効果が実感しやすい傾向があります。

 

節税効果と資金調達

所得600万円・800万円・1,200万円の3モデルで比較すると、多くのケースで法人化後の方が税・社会保険を含めた手残りが改善する可能性があります。

主な理由は次の3点です。

  • ・役員報酬の設定により所得を分散できる
  • ・社用車・通信費・福利厚生費など経費算入範囲が拡大する
  • ・法人税率が一定で、所得税のように急激に増えない

法人税の基本税率(国税)は23.2%で、地方税などを含めた実効税率はおおむね30%前後です。個人事業主の所得税(最大45%)+住民税(約10%)と比べると、一定以上の利益が出る場合は法人の方が税負担を抑えやすくなります。

法人税率(国税)は23.2%で、地方税などを含めた実効税率はおおむね30%前後が目安です。個人事業主の所得税(最大45%)+住民税10%)と比べると、一定の利益水準を超える場合は、法人の方が税負担を抑えやすくなります。

▶ 参考:財務省「法人税に関する基本的な資料」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm

また、法人名義の決算書・銀行口座を持つことで、融資・リース審査が通りやすくなり、 車両・計測機器・ICT導入など事業拡張の投資がしやすくなります。

 

固定費・事務負担の実際

法人化すると、毎年一定以上のな維持コストが発生します。

主な項目と目安の金額は以下の通りです。

項目 内容 目安
法人住民税(均等割) 赤字でも課税される固定税 年7~10万円
社会保険会社負担 給与総額の約15% 年60~100万円
会計・労務外注費 記帳・決算・給与計算など 月2~5万円
会計ソフト・通信費 クラウド会計・業務管理ツールなど 月0.5~1万円

代表者がこれらの業務をすべて行うと、本来の現場業務や営業活動に手が回らなくなるケースもあります。

そのため、会計や労務処理は専門家や外部サービスに任せ、社内では原価管理や請求処理など、現場に直結する部分に集中するのが効率的です。

これらの固定費は「経営の見える化や効率化のための投資」と考え、単価の見直しや工程の改善で吸収していく設計が現実的です。

 

よくある質問

 

法人化に必要な資本金はいくら?

法律上は1円から設立可能ですが、取引信用・資金繰りを考えると100~300万円が目安です。融資や社会保険負担を踏まえ、3ヶ月分の運転資金を確保できる額が望ましいです。

▶ 参考:法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html

 

社会保険加入は必須?

法人は原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所となります。ただし、実際の加入義務は「常時従業員を使用しているか」により判断されます。

▶ 参考:日本年金機構「新規適用の手続き(厚生年金保険)」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150311.html

 

法人化後の確定申告はどう変わる?

個人の確定申告から、法人税・地方法人税・消費税などの決算申告へ切り替わります。仕訳や減価償却、源泉徴収など処理項目が増えるため、会計ソフトの導入と税理士への相談がおすすめです。

 

従業員がいなくても法人化できる?

可能です。役員1名でも設立はでき、事業拡大に合わせて採用していく形が一般的です。ただし、社会保険の新規適用や決算申告は必要となります。

 

建設業許可はすぐに必要?

請負金額が500万円(税込)以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を扱う場合に必要です。社会保険や決算実績が整った段階で申請を行うとスムーズです。

 

法人化の次にやるべきことと、成長へのステップ

法人化はゴールではなく、安定経営へのスタートラインです。

受注の幅が広がるほど、採用や育成、原価管理といった組織的な仕組みづくりが欠かせません。現場での対応力だけでなく、会社としての体制を整えることが次の成長につながります。

 

法人化で満足しないためのチェックポイント

法人化した後は、次の3つを確実に整えておくことが大切です。

  •   1.  社会保険加入が完了している
  •   2.  建設業許可の取得準備が進んでいる
  •   3.  会計・労務が月次で安定運用できている

この3点が整えば、受注増加にも対応できる体制が構築できます。

 

今後の成長戦略:採用・育成・体制づくり

法人化によって仕事の幅が広がると、次に課題となるのが「人の確保と育成」です。代表者一人で回していた頃と違い、現場が複数になれば、教育や安全管理の仕組みが求められます。

採用活動では、給与や待遇だけでなく、教育体制や安全管理の整備状況が信頼を左右します。新人教育のマニュアル化、写真付きの作業手順書、OJT(現場指導)のルールづくりなどを整え、誰が教えても品質が変わらない体制を築くことが理想です。

こうした仕組みが整えば、社員の定着率が上がり、安定した組織運営につながります。法人化の次のステップとして、「人を育てる会社づくり」を意識することが成長の鍵になります。

 

法人化後に検討したい採用と育成の基盤づくり

電気業界に特化した求人サイト「電工ナビ」では、採用・育成・定着を支援する情報を発信しています。

法人化後にはスピーディな人材確保を求められるケースが多く、求人メディアの選定が成果を左右します。

ぜひ、下記の資料をダウンロードの上、今後の採用戦略にお役立てください。

・「電気工事士採用のための求人メディア選定3つのポイント」

一覧に戻る

次の記事