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2025.08.01

電気工事士の若手が定着しない理由とは?育成の壁とその乗り越え方

昨今の電気工事業界では、人手不足がますます深刻化しています。そうした原因のひとつとして、「ようやく採用した若手がすぐに辞めてしまう」と言った悩みを抱える経営者が少なくありません。

本記事では、電気工事業界専門の求人サイト「電工ナビ」のスタッフが実際に現場で伺うお悩みや、効果的な対策例を交えながら、若手が腰を据えて働ける職場をつくるためのヒントを整理します。

 

定着以前に辞めてしまう? 若手離職の深刻化

生産年齢人口が減少していく中、多くの企業が人材不足の課題を抱えています。

電気工事業界においても同様で、経済産業省の資料(※)では、第1種電気工事士について「2045年には想定需要に対して2.4万人程度不足する」との予測も示されています。

こうした状況の中、特に若手の離職は経営者を悩ませる一因となっています。では、若手の離職についての対策が追いつかない場合、電気工事会社にはどのようなリスクが生じるのでしょうか。

(※)出典:経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」

 

若手離職により電気工事会社に生じるリスク

電気工事会社において若手の離職が深刻化した場合、次のようなリスクが生じる可能性があります。

採用・育成コストの未回収 高い採用費や教育投資が無駄になり、経営効率が低下する
技術継承の停滞 ベテランの高齢化が進むなか、若手の不在で技能やノウハウの伝承が難しくなる
受注機会の損失 人手不足で対応できる案件数が減り、売上・顧客満足ともに下振れになる

さらに若手の離職が常習化すると、「採用⇒育成⇒離職」の負のループに陥る危険性があります。このような悪循環を断ち切るには、まず現場で若手の教育を担当する社員のリアルな声を知ることが欠かせません。

 

なぜ育成がうまくいかないのか、電気工事会社の教育担当者のリアルな声から考える

電気工事会社の教育担当者からは、若手の教育に対して次のような悩みを抱えているケースが多いです。

・「若手を教育すると言っても、何から教えればよいのか分からない。昔は先輩から見て覚えるのが普通だった」
・「若手に仕事を教えたら『別の先輩からは違うやり方を教えられた』と言われた」
・「若手から『こんな業務を任されるとは聞いていなかった』と言われ、結局自分がやることに…」

こうした現場の声をまとめると、「教育の属人化」や「入社前後のイメージのギャップ」が、若手育成の壁となっていることがわかります。ここでは、現場でどのような状況が生じているのか、詳しく掘り下げていきます。

 

若手育成の壁(1):教育体制が属人化すると、若手は萎縮してしまいがち

電気工事会社では、現場ごとに教育担当者が入れ替わることが珍しくありません。その結果、同じ作業でも指示内容や手順が先輩によって微妙に異なるケースが頻発します。

「昨日は、先輩から合格をもらった作業方法が、今日は別の先輩に否定される」

「昨日の先輩はよく教えてくれたのに、今日は『自分で覚えろ』と言われた」

こうした矛盾に直面した若手は「叱られポイント」が分からず萎縮し、自発的な質問を控えるようになります。先輩社員とコミュニケーションが取りづらい状況は、そのまま離職の要因にもつながっていきます。

 

若手育成の壁(2):入社前後のギャップが、離職の引き金に

求人原稿や採用面接を通じて伝わった自社についての情報と現実にギャップがあると、入社後、若手は“期待外れ”を理由に早期離職してしまう可能性があります。具体的には、次のようなケースがあります。

 

「残業時間が思っていたよりも長い」

電気工事業界は、繁忙期と閑散期で残業時間に差が出やすい業界です。

面接時には「月10時間程度」と伝えていたとしても、繁忙期に入社した場合は月30時間を超えるケースもあります。結果として、「話が違う」と不信感を抱く若手も少なくありません。

 

「この現場で働くとは聞いていなかった」

電気工事と一言でいっても、新築・改修、住宅・工場など、工事の種類や現場によって業務の内容は大きく異なります。

どんな現場で、どんな業務を実施するのか、できるだけ正確に伝えておかないと、入社後に「聞いていなかった」という声につながりやすくなります。

 

定着のために押さえておきたい、若手の視点

ここまで育成の壁について、現場の教育担当者の視点から見てきました。反対に、若手はこうした状況をどう感じているのでしょうか。いわゆるZ世代(1990年代後半から2,000年代生まれ)の特徴を押さえておきましょう。

 

若手が求める成長実感

Z世代の特徴の1つとして、「認められたい」「共感してほしい」といった承認欲求の強さがあります。

業務に置き換えると、 “職場内での自分の立ち位置”が可視化されていない場合、不安を感じやすいでしょう。

そのため、短期的な目標や長期的なロードマップの設定、それに合わせて現状を評価するといった取り組みが求められます。

 

事前情報が、入社後の納得感を左右する

Z世代の別の特徴として、ワークライフバランスを好む傾向があります。

特に、仕事内容や残業時間について、入社前の情報とギャップがあると、「自分に合った生き方ができない」といった想いが強く出ることがあります。

とはいえ、採用面接の場で、仕事内容や残業時間などの詳細をすべて伝えるのは、時間的にどうしても限界があります。そこで、求人広告の段階で、できる限り具体的で正確な情報を示すことが重要です。

 

育成の壁を乗り越えるためのポイント

ここでは、現場の実情を踏まえて若手の離職を防ぎ、定着につなげるためのポイントを解説していきます。

 

ポイント1:OJTとフィードバック制度の活用

OJT(On the Job Training)は、現場で実務を通じて学ぶ教育手法であり、電気工事のような実践が重要な業種には欠かせない取り組みです。

ただし「現場で学ばせる=自然と成長する」という考え方だけでは、属人化や教育のばらつきが生まれ、若手の不安や不満の原因になります。そこで重要なのが、OJTに加え、フィードバック制度を計画的に運用することです。

 

【フィードバック制度の具体的な活用ステップ】

① 教育担当者の明確化

「誰が教えるか」をあらかじめ決めておくことで、指導内容の一貫性が保たれます。

たとえば「配線作業はAさん」「器具付けはBさん」など、工程ごとに分担するのも効果的です。

② 教育内容の事前共有

OJTに入る前に「今日は〇〇の作業を教える」「目的は△△の理解」といった内容を本人に共有しておくことで、学ぶべきポイントが明確になります。

③ OJT終了後の30秒フィードバック

現場作業後、その場で簡単にフィードバックを行います。
 ・〇 よかった点(例:「丁寧に配線していたね」)
 ・△ 次に活かす点(例:「報告のタイミングはもう少し早くてOK」)
あくまで“短く・具体的に”がポイントです。

④ 振り返りシートの活用

週単位で「できるようになったこと」や「自分の課題」を記入する簡易シートを用意することで、成長実感が可視化され、次の目標設定にも役立ちます。

このようにフィードバック制度を活用することで、「見て覚えろ」ではなく、「理解して身につける」スタイルへと変化させることができます。

若手が安心して学べる環境が整えば、自信やモチベーションにもつながり、結果として定着率の向上にもつながります。

 

ポイント2:最初の3ヶ月で入社後のギャップを乗り越えてもらう

若手が定着するかどうかの分岐点は、一般的に“入社後3ヶ月、6ヶ月、1年後など節目の時期となるケースが多いです。

特に最初の3ヶ月で「自分はここでやっていけそう」と思える経験を積んでもらえるかどうかが、その後の定着率に大きく影響します。この時期は特に入社前の情報と入社後の現実の間にギャップを感じやすいので、次のようなフォローを欠かさないようにしましょう。

・週次のミーティングを実施し、疑問や不明点がないか確認
・同時に、「1週間単位」の目標設定で達成感を演出
・小さな成功体験に対しても積極的に承認・声かけ

 

電工ナビを活用して“定着率”を育てる職場づくりへ

ここまで解説してきたように、若手育成の壁を乗り越えるためには、フィードバック制度の導入や、最初の3ヶ月のフォロー体制が効果的です。

また、入社前後のギャップをできるだけなくすためには、面接はもちろん、求人の段階から実際に働いている姿をイメージしてもらうことが大切です。特に、求人原稿は自社の社風や業務内容を詳しく伝えつつ、魅力をアピールして応募を促すための重要な要素と言えます。

そして、求人原稿での情報提供の精度を高めるために有効なのが、電気工事業界に特化した求人メディアの活用です。なかでもおすすめなのが、電気工事士専門の求人サイト「電工ナビ」です。

電工ナビでは、こんな情報発信ができます:
・実際の現場写真や作業風景の動画を掲載することで、「どんな場所でどんな仕事をするか」がリアルに伝わります。
・先輩社員のインタビューを通して、「社風」や「どんな人が働いているか」も事前に共有できます。
・育成ロードマップや1年後のキャリア像も掲載できるので、入社後の“育ち方”までイメージさせることが可能です。

電工ナビについてより具体的に知りたい方は、下のボタンからサービス資料をダウンロードできます。

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【情報提供元】

TEAM株式会社

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