2025.08.01
【電気業界のDX】現場効率化と人材不足解消の成功事例とポイント

「最近よく耳にするDX、電気工事でも取り組むべき?」 「DXと言っても、具体的にどんな取り組みをすればいいのかわからない」 DX(デジタルトランスフォーメーション)について、このように感じている電気工事会社の経営者の方は多いのではないでしょうか? 特に電気業界では「人手不足」や「特定の人に仕事が偏る状況(属人化)」が深刻化しており、DXに取り組む重要性が高まっています。
そこで本記事では、DXの定義や電気業界における具体的な取り組み事例、DXをスムーズに進めるための5つのステップやDXを進める際の注意点について、わかりやすく解説していきます。
CONTENTS
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)について、「デジタルを活用して業務を効率化すること」と認識されているケースは少なくありません。 しかし、経済産業省の「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」には、DX(デジタルトランスフォーメーション)について、次のような記載があります。
「顧客視点で新たな価値を創出していくために、ビジネスモデルや企業文化の変革に取り組むことであり、単にデジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、企業経営の変革そのもの」 世の中の変化するスピードがますます速くなる中で、従来の経営手法に縛られることなく、より柔軟な仕組みを社内に作ることが、DXの目的と言えるでしょう。
DXの取り組みと効果
とはいえ、特に中小企業にとっては、 デジタル技術やツールを活用して業務の進め方を変えるだけでも、社会の変化するスピードに追いつきやすくなる、つまりDXの実現に近づくことも事実です。 身近な業務を例に挙げると、デジタルツールによるペーパーレス化も、DXの取り組みの一つと言うことができます。 従来、手書きしていた資料をアプリに移行したり、紙で管理していた資料をデータ化してクラウド化したりすることで、業務時間の短縮、ミスの削減、担当者不在時の対応力アップなど、属人化を避けつつ人手不足でも案件を受注しやすい体制を作れるようになります。
電気業界におけるDXの取り組み事例
電気工事業界では、まだまだ紙中心の作業や人の勘に頼った仕事が多いため、デジタルツールの導入による改善の余地が大きい分野と言えます。 ここでは、実際の取り組み事例を2つ紹介していきます。
例1:図面・見積作成のデジタルツール導入
現在、多くの電気工事会社では、図面はJw_cad、見積書はExcelといった形で作成されているケースが一般的です。 ただ、Jw_cadは無料で利用可能でシェア率が高い一方、操作には慣れが必要で、若手メンバーにはハードルが高いと感じられることも多く、図面作成・修正や拾い出しといった業務をベテランが担ってしまいがちです。 また、Excelでの見積作成も「担当者によってフォーマットや精度がバラつきやすい」「拾い漏れや積算ミスが起こりやすい」といった声が少なくありません。 こうした背景から最近では、図面や見積に特化したデジタルツールの導入を進める企業が増えています。 こうしたツールの多くは操作性が重視されており、初心者でも扱いやすいほか、図面から材料の数量を自動で拾い出したり、図面の内容をそのまま見積書に反映できるなど、ミスを減らして業務を効率化する機能も豊富です。 このように、身近な作業をデジタルツールにより効率化することは、電気業界のDXでスタートしやすい取り組みと言えるでしょう。
例2:工事台帳、日報管理などの一元管理ツール導入
工事台帳や日報などについても、電気業界では紙やExcelで管理しているケースがまだまだ一般的です。 こうした手法では、案件が増えると管理が煩雑になったり、記入ミスや抜け漏れが発生しやすくなります。 また、台帳・日報・入出金管理の情報がそれぞれバラバラに管理されていると、確認に時間がかかり、引き継ぎもうまくいかないことがあります。 そこで注目されているのが、案件ごとの情報をまとめて一元管理できるデジタルツールの導入です。 例えば、 ・案件が発生したらそのまま工事台帳を作成 ・現場で入力した日報が台帳に反映 ・入出金の履歴をもとに請求書をスムーズに作成 といったように、一つの流れで管理できる仕組みが整うため、作業の手間やミスを大きく減らすことができます。 「現場と事務の連携がとりにくい」「紙やExcelでの管理に限界を感じている」といった課題を抱えている企業の場合は、こうした一元管理ツールの導入を検討すると良いでしょう。
電気工事会社のDX実現に向けたステップ
ここまで、電気工事会社が進めるDXの取り組み事例として、デジタルツール導入について解説してきました。 しかし、会社によって抱えている課題は異なるため、他社が導入したツールが自社でも効果的とは限りません。 そこでここからは、実際に電気工事会社がDXの取り組みを進める際に押さえておきたいステップを解説していきます。
STEP1:現状の業務フローと課題を洗い出す
DXの取り組みの第一歩は「現場の現状を知ること」です。 現場責任者と二人三脚で、現状の業務フローを改めて洗い出しましょう。その際は、口頭だけでなく、紙やアプリでフローを図示化するなど、誰でも直感的に流れがわかるような状態にしておくことが重要です。 その上で、現場責任者が課題に感じていることをリストアップしていきます。この段階では、次のような課題が挙げられることが多いです。 ・日報・工事記録が紙で管理されていて煩雑 ・顧客情報に事務担当者しかアクセスできない ・担当者同士で図面の共有がうまくできていない
STEP2:現場担当者の声を集めて、改善したい業務を明確にする
現場担当者の声を聞かず、経営層だけ、現場責任者だけでDXを進めるのは、失敗する可能性の高いパターンの一つです。 例えば、現場担当者の課題を考慮してデジタルツールを導入したつもりが、「使いづらくて、結局、紙で作業している」といった失敗パターンもあります。 STEP1で現場責任者と業務の課題をある程度すり合わせたら、次は実際に業務を担うメンバーの声を聞き、「どの作業で困っているか」を整理することが大切です。 例えば、「日報を書くのに時間がかかる」「写真整理が大変」といった現場の声は、それに適したデジタルツールの導入を進めるための最大のヒントになります。 このように、現場責任者や担当者へのヒアリングを通じて、ムダ・重複・非効率な作業を明らかにしましょう。
STEP3:デジタル化・自動化で解決できる業務を選定する
集めた課題や現場の声の中から、「デジタルツールの導入によりで解決できるもの」をピックアップします。 もちろん、DXを実現するためには、デジタルツール以外で解決できる課題に目を向けることも重要ですが、小さな成功事例を積み重ねることが重要なため、解決しやすいものを優先していきましょう。 具体的な事例は、すでに上で示したとおりです。
STEP4:優先順位をつけて、まずは一部の業務から始めてみる
DXといっても、すべてを一気に変える必要はありません。まずは「効果が見えやすい業務」から着手することが重要です。 STEP3で複数の課題をピックアップしたとしても、最初は1つの課題に絞って進め、できるだけ小さく成果を出すことが重要です。 たとえば、新人教育に使うマニュアルのデジタル化であれば、最初は1つの現場だけで進め、現場責任者・担当者からフィードバックをもらいつつ、良い評価であれば他の現場でも運用する、といった流れで進めると現場からの不満も出にくいです。
STEP5:実施後の効果を検証し、継続or改善を判断する
例えば、デジタルツールを導入したとしても、すぐに成果が出ない場合や、失敗と考えられるケースもあります。 そうした場合は、さらにその原因を探り、対策する流れを繰り返すことが重要です。 また、取り組みが成功した場合も同様に、なぜ成功したかを把握することが欠かせません。次のように、取り組みを実施したことによる改善効果を見える化しつつ、他の取り組みにも活かしていきましょう。 ・日報入力時間が30分→10分に短縮 ・写真整理の時間が半分に短縮 ・担当者の8割以上がツール導入に満足 前述したとおり、DXは「変化する社会に合わせられる仕組みを作ること」が目的なので、目に見えるゴールがあるわけではありません。業界の最新事情をチェックしつつ、課題抽出と改善を繰り返し、常に変化に対応できる体制に変化していくことが重要です。
電気工事会社でDXを進める際の注意点
ここまで解説したDXの取り組みの進め方の中で、特に注意しておきたい点を2つ紹介します。
注意点① メンバーの教育とフォロー体制を整える
デジタルツールに関連する取り組みを進める場合、導入後に「結局、誰も使いこなせない・使わない」といった状況が起きるケースもあります。 取り扱いが難しいと考えられるツールを導入する際には、こうした事態を避けるため、操作方法の説明に関する研修会や、ベンダーの用意したマニュアルを担当者に展開することを忘れないようにしましょう。 また、導入初期は戸惑いも多いため、現場からの相談に対応できるフォロー体制を準備しましょう。フォロー体制の充実したベンダーからツールを導入するというのも、効果的です。
注意点② 現場の意見を取り入れずに進めない
前述したとおり、経営層だけでDXの取り組みを進めてしまうと、実務の流れと合わず、かえって現場の負担が増えることも。 日々の業務を担う現場担当者の声を聞くことで、真に必要な改善ポイントが見えてきます。現場との対話を重視することで、経営層・現場が一体になってDXを推進していくことが重要です。 そのために、例えば「DX推進グループ」といった部門を社内に立ち上げて、経営層・現場責任者・現場担当者それぞれ配置させるといった取り組みを実施する企業もあります。
DXの推進の取り組みと人材確保の取り組みは、同時に進めるべき
近年、電気業界でもDX化が進み、業務の効率化や生産性向上を実現できる企業が増えてきました。現場の負担軽減や、働きやすい環境の整備といった成果が見え始めつつあります。 しかし、どれだけDXを推進して、デジタルツールを導入したとしても、それを使いこなす「人材」がいなければ、企業の成長はストップしてしまうでしょう。 そのため、DXの推進の取り組みと人材確保の取り組みは、どちらかに偏ることなく同時に進めることが重要です。 一方で、とくに電気工事業界では、ベテラン層の高齢化が進む一方で、若手の入職者が少ないという課題を抱える企業が少なくありません。 こうした課題を解消する手段として、TEAM株式会社では、電気業界専門の求人サイト「電工ナビ」を提供しています。 質の高いベテランから、電気業界で働く意欲が高い未経験者まで、幅広い人材からの応募があるので、人材確保に課題を抱えている方は、ぜひ下記よりサービス資料をダウンロードください。
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【情報提供元】
TEAM株式会社